Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lisez あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 451 caractères · 236 écrans

Aozora Bunko

空濶な平野には、麦や桑が青々と伸びて、泥田をかえしている農夫や馬の姿が、所々に見えた。砂埃の立つ白い路を、二人は鈍い俥に乗って帰って来たが、父親が侑めてくれた濁酒に酔って、俥の上でごくりごくりと眠っている小野田の坊主頸をした大きい頭脳が、お島の目には惨らしく滑稽にみえた。

この貧しげな在所から入って来ると、着いた当時は鈍くさくて為方のなかった寂しい町の状が、可也賑かで、豊かなもののように見えて来た。大きい洋風の建物が目についたり、東京にもみられないような奥行の深そうな美しい店屋や、洒落た構の料理屋なども、物珍しく眺められた。妹の住っている静な町には、どんな人が生活しているかと思うような、門構の大きな家や庭がそこにも此処にもあった。

小野田の話によると、父親の財産として、少ばかりの山が、それでもまだ残っていると云うのであった。その山を売りさえすれば、多少の金が手につくというのであった。そしてそうさせるには、二人で機嫌を取って、父親を悦ばせてやらなければならないのである。

「そんな気の長いことを言っていた日には、いつ立てるか解りやしないじゃないか」

お島はその晩も二階で小野田と言争った。