Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lisez 上杉謙信 (うえすぎけんしん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 102 caractères · 256 écrans

Aozora Bunko

「長女も次女もすでに他家へ嫁し、ほかに娘とよぶ者はおらぬが」

「いや、おられるでしょう」

弥太郎は、笑った口へ、杯の酒を含んだ。

「それがしが甲府にいたころ、そのころ、まだ十歳にもなられぬ愛くるしい御息女がたしかにおられた。町でも見、御社の庭でも見、よく覚えておる。――ところがその後、年を経て同じおひとを、春日山の御城下に見た。何とそれが、上杉家の臣、黒川大隅家のやしきに召使となっておる。聞けば善光寺あたりからさる者の世話で、大隅家の一人娘の傅女として雇い入れたものという。……名は鶴菜どの、左の唇のほとりに黒子がある。そしてどこやらあなたの面ざしにも似かようておる」

「…………」

「伝右衛門どの、善光寺詣での折にでも、そうしたおむすめ御を道で落した覚えはありませぬか。もしお尋ねならば、いるところをお教え申したいが」

骨太い戦国武者のあらぎもが、この時もう伝右衛門の肚に甦っていた。ふいに、杯の酒を手から揺りこぼして、笑い出したものだった。

「いや、そういわれて、伝右も思い出してござる。真に数年前、善光寺辺で末娘をひとり見失い申した。それが越後に拾われて行ったのを、貴公がお見かけなされたとは、奇縁奇縁。