Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lisez 上杉謙信 (うえすぎけんしん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 102 caractères · 256 écrans

Aozora Bunko

「お、お父上様ではございませんか。あなた様は甲州のお旗本、初鹿野伝右衛門様でございましょうが」

「ちがう」

「いいえ、ちがいません」

「ちがう、ちがう」

「でも、鎧の胸当にある御紋は、初鹿野家の抱茗荷の御紋です」

「抱茗荷は他家にもある」

「無いと記憶えておりまする。甲府の家を離れてもまだ四、五年の年月しか経ちません。家の御紋を忘れてどうしましょう」

「何者だ、そちは」

「鶴菜でございまする。父上さま。その御眼ざしや、お声だけでも、実の子には分ります。なぜ、鶴菜かと仰っしゃっては下さいませんか」

「知らぬ」

「むごい仰せです。まだ年も十四の頃、お父上に伴われ、善光寺に詣でた途中、にわかに厳しいおいいつけをうけ、甲州の御為じゃ、主君への忠義じゃ、汝を捨てる、越後へ拾われて行けと、わたくしの身は、世話人の手にかかり、春日山のお旗本黒川大隅さまの家へ奉公にやられました。……そしてお別れ申すとき、お父上から懇々申しつけられたとおりを守って上杉家の出来事、御城下のうごき、御家中の取沙汰など、絶えず事細やかに、お文を以て甲府へ密報しておりました……。それなのに」

どこかで、弾音がした。