Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lisez 上杉謙信 (うえすぎけんしん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 102 caractères · 256 écrans

Aozora Bunko

わけても、

「信玄公討たれたもう」

という流言は、ほんの一時にせよ、魔符のように、武田陣のあいだに広まり、みるみるうち落莫たる気落ちの色が全軍を蔽った。

ようやく、人心地ついて、信玄の床几を、元に直した信玄の本陣に、そのことが知れたので、一大事とばかり、内藤修理が諸方の味方へ馬を駆け廻しながら触れてあるいた。

「お館は御機嫌に御座なさるるぞ。なんのおつつがもなく御指揮に当っておられる。――敵の虚言に乗せられて、味方の戦意を攪き紊すが如き者あれば、味方といえ斬って捨てい」

全陣の不安な動揺は、この触れに依ってようやくしずまったものの、ひとたび中軍のまっただ中を、謙信の馬蹄に蹂躪された武田方の中枢部は、その愕きと陣形の紊れとを、容易に回復することができなかった。

しかしこの隠忍自重は、やはり武田信玄でなければできない怺えであった。終始、受け身の苦戦を敢てしていた甲軍のうえに、程なく吉報があった。

「見えましたっ。十隊のお味方勢が、彼方、千曲川の下流からも、上流からも」

八幡の森の梢に、物見に登っていた者たちは、こう大声で下に知らせ、下にいた部将はすぐ、信玄の幕営へ向って、同じ声をもって告げていた。