Classiques japonais avec furigana
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うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
Lisez 上杉謙信 (うえすぎけんしん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 102 caractères · 256 écrans
かつてその旗本まで敵の足に踏みこませた例はないと誇っていた信玄の身辺すら、単騎の謙信に踏み込まれたのを見れば、いかに武田軍が一時は危険なる潰乱状態に陥入ったか想像に難くない。かつは、有力なる大将たちも、幾人となく、枕をならべて斃れ、信玄父子も傷つき、弟の典厩信繁までが討死をとげたことは、何といっても惨たる敗滅の一歩てまえまで追いつめられていたことは蔽いようもない事実といわねばならん……けれど、後度の戦(午後より夕方まで)になっては、まったく形勢逆転して、十に七ツまでも、信玄の勝利となったは疑いもない。この転機は、妻女山隊の新手が上杉軍の息づかれを側面から衝いた瞬間から一変したものであり、上杉方の総敗退を余儀なくされたのは、首将謙信自身、陣の中枢を離れて、一挙に速戦即決を迫らんとしていたのが、ついにその事の半ばに、敵甲軍の盛返すところとなったので、謙信の悲壮極まる覚悟のほどを思いやれば、彼の遺恨に対して一掬の悲涙なきを得ない。――しかし、以上のように双方を大観すれば、この一戦は、勝敗なしの相引というのが公平なところであろう」
太田三楽の戦評のほかに、徳川家康が後年駿府にいたとき、元、甲州の士だった横田甚右衛門とか、広瀬美濃などという老兵を集めて川中島の評判をなしたことも伝えられている。