Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lisez 上杉謙信 (うえすぎけんしん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 102 caractères · 256 écrans

Aozora Bunko

「……どちらを向いても、同じような秋草の原、同じような川」

どこから来たのか。

ここにぽつねんと行き暮れたように立った旅の女は、西を見東を見、

「どう向いて行ったら?」

と、考えているふうだった。

漆で塗りかためた市女笠を被っている。物売りとも見えないが背に一包みの物を負い、裾は短かにくくりあげ、草鞋をうがち杖を持ちなど、なかなか凜々しい恰好である。――いい忘れたが年ばえはまだ二十歳に届いていまい。肌目のよい白い肌は雪国の処女をすぐ想わせる。そうだ、その風俗といい、目鼻だちも、越後の女に特有な美があった。

――と、鎌の音がどこやらで聞えた。さくさくと草を薙ぐ快い音である。彼女のまるっこい眼は急にそれへ動いた。

彼方の秋草のなかに、数頭の裸馬の背が見える。刈草を束ねて馬の背に積み終った者は、それを曳いて遠ざかって行く。――が、後にもなお一隊の草刈が、鎌をそろえて、河原の方へ刈り進んで来た。

「もし、甲州路へ出るには、どう行ったらようございましょうか」

不意に、女の声で、こう訊かれたので、草刈たちは驚いたように腰を上げた。これはみな近村の農夫らしいが、徴発をうけて、馬糧を刈ったり、道を拓いたり、運輸の手伝いなどしているいわゆる軍夫たちであった。