Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ちめいのけんきゅう

地名の研究

柳田 国男

Lisez 地名の研究 (ちめいのけんきゅう) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 176 308 caractères · 347 écrans

Aozora Bunko

一窪田はすなわち久保の最も小さいものを、独立して田にし得たのを称するのであろう。中国のある山地にこの地名の集合してあるのは、あるいはかの地方の地学的状況が、特にその発生に便であったためではなかろうか。予は東京附近のいわゆる野方場の事情に徴して、これをもって地層の構成と地下水の関係によるものかと思っている。地下水の最も豊富なのは、富士の南北の山麓などであろう。かの地方は水が多過ぎて、洪水はしばしば川に遠い田畝の間から起り、迂闊には井も掘ることができない。こうした処では灌漑のために、特に地下水の噴出を仰ぐまでもない。山清水は常に傾斜を走下し、田地の全面積を浸して余りがあるからである。これに反して武蔵野・相模野の高台にあっては、多くの新村はいわゆる皆畠の村である。すなわち田無である。時としては飲料水すら遠くに汲まねばならぬ煩がある。ゆえにその開発はすこぶる遅緩でついに徳川中頃に至って江戸の力をもってこれをなし遂げた。しかるにこの間にも、妙に地下水露頭の分布がある。方言でハケと称する赤土の崖を破り、あるいは真黒な埴土の中央から清水を噴出する。その最も古くて大きなものは流れて鶴見川・片瀬川等の柔線の渓を作り、二三のきわめて清冽なものはいわゆる井ノ頭となって江戸の寄洲の上に導かれ、大都の存立要件の主なる一つとなった