Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵 (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 809 caractères · 369 écrans

Aozora Bunko

みしっと、足の裏から白い光が走った。見ると、薄氷を踏んでいるのだった。いつの間にか、彼は河原に降り、加茂川の東岸を歩いていたのである。

水も空も、まだ暗澹として、夜明けの気ぶりも見えない。流れのふちだと気がつくと、急に足が出なくなった。今までは鼻を抓まれても分らないような厚ぼったい闇を、吉田山の下からここまでなんの苦もなく歩けて来たのであったが――

「そうだ、火でも焚いて」

堤の蔭へ寄って、武蔵は、そこらの枯れ枝や木片れや、燃えそうな物をあつめた。燧打石を磨って、小さな炎とするまでには、実に克明な丹精と辛抱が要るのだった。

やっと、枯れ草に炎がついた。その上へ、積木細工のように、大事に燃える物を組んでゆく。或る火力にまで達しると、急に育ち上がった炎は、こんどは風を呼び、火を作った人間へ向って、ぐわうっと顔でも焼きそうに背伸びしてかかってくる。

ふところから餅を出して、武蔵は、それを焚火であぶった。焦げて、ぷーと膨らむ餅を見ていると、またしても、彼は少年の頃の正月を思い出し、家なき子の感傷が、泡つぶみたいに、心のうえで明滅する。

「…………」

塩気もない、甘味もない、ただ餅だけの味だった。