Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵 (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 809 caractères · 369 écrans
だが、金のほかに死者から預かっている「中条流印可目録」の巻物のうちにある佐々木小次郎とは、一体どこが生国だろうか。
多分――あの死んだ武者修行がその佐々木小次郎にちがいないとは思うが、牢人か、主持か、またどういう経歴の者であるかは、さっぱり分らないし、分ろうとする手がかりもない。
唯一の頼りは、佐々木小次郎に対して、印可目録を授けている鐘巻自斎という剣術の師匠だ。その自斎がわかれば、小次郎の素姓もすぐ知れよう。それについて、又八も伏見から大坂へ下って来る道々、茶店、飯屋、旅籠と折のあるごとに、
「鐘巻自斎という剣術のすぐれた人がいるかね」
訊ねてみたが、
「聞いたこともないお人ですなあ」
と、誰もいう。
「富田勢源の流儀をひいている中条流の大家だが」
と、いってみても、
「はてね?」
まったく知る者がないのである。
――すると、路傍で会った或る侍が、多少、兵法にも心得がある様子で、
「その鐘巻自斎とかいう仁は、生きていても、もう非常な老齢のはずだ。たしか、関東に出て、晩年は上州のどこか山里にかくれたきり、世間へ出なかったように聞いておる。――その人の消息を知りたければ、大坂城へ参って、富田主水正という人物をたずねてみるとよい」