Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

Lisez 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 989 caractères · 144 écrans

Aozora Bunko

瑠璃光丸は或る日ゆうべの勤行を終って、文殊楼の前の石段を、宿院の方へ降りて行くと、

「もし、もし、あなたさまは瑠璃光丸さまと仰っしゃいますか。」

こう云って、あたりを憚るように、石段の上から小声で呼びかける者があった。

「わたくしは山城の国の深草の里から、主の使で、あなたさまをお尋ね申して参りました。この文を私からあなた様へ、直き/\にお渡し申すように、云い付かって居るのでございます。」

男は楼門の蔭に身を隠して、袂の裏に忍ばせてある文の端を、何か曰くがありそうにちらりと示しながら、頻りにぺこ/\お時儀をして瑠璃光をさしまねいた。

「―――こう申したゞけではお分りになりますまいが、くわしい訳は此れにしたゝめてございます。此の文を、成るべく人目にかゝらぬように御覧に入れて、是非御返事を伺って参れと云う、主の申し付けでございます。」

瑠璃光は、いやしい奴僕の風俗をした、二十あまりの薄髯のある男の顔を、胡散らしく見守って居たが、何心なく受け取った文の面に眼を落すと、

「おゝ、千手どのゝ手だ。」

と、我を忘れて叫ばずには居られなかった。その甲高い調子を、男は制するようにして言葉を続けた。