Classiques japonais avec furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lisez 火の扉 (ひのとびら) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 467 caractères · 257 écrans
が、とつぜん、
「おじさん、なんの用があるの?」
「え?」
「おじさん、なにしてんの、そこで?」
市ノ瀬牧人はこの質問には面くらつたが、しかし、子供が相手だと気がつき、
「おじさんかい? そりやあいろんな用があるさ。きようはワラビをとりにいく相談に来たんだよ。お母さんと君とじや、道がわからんだろう? わしがえゝとこへ連れてつてやるで。君はどれくらい歩ける?」
「ボク、十六キロは平気さ。こないだ学校からカナエのプールまで往復歩いたんだもの。おじさん知つてる、カナエのプール?」
「知つてるさ。だが、ありやあ平らな道じやないか。山道を登るんだぜ、こんどは」
「お母さんがどうかなあ。お母さんはくたびれたなんて言わないけど、すぐくつずれをこしらえるんだよ。足に水ぶくれができて、それがひどいのさ。ボクは一度新しいくつをはいた時できたつきりだ。あ、クロツグミ、クロツグミ……」
そう言つて、坪庭のドウダンの枝にいま来てとまつた小鳥に眼をすえた。
「なにをおしやべりしてんの、トムちやん?」
奥からなにやら盆にのせて運んで来た井出夫人は、この二人の友だちぶりをもの珍しそうにうちながめ、