Classiques japonais avec furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lisez 火の扉 (ひのとびら) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 467 caractères · 257 écrans
順番をこのひとたちに譲つてやつてさ。わしがワッカナイまで連れてつて、そのついでに、例のうちへみんなのことを話してみるよ。どうせいゝにきまつてるんだから、ひと足おくれて来たら、ちやんと、お茶わかして待つてゝあげら。それがいゝだろう?」
キヌちやんとシメちやんは、顔を見合わした。
「それもいゝね」
と、キヌちやんが言つた。
「たしかなら、だ、それも……」
と、シメちやんがつけたした。
「そうきまれば、わッしたちや、こゝでぶる/\ふるえてなくつてもいゝんだ。なん時だろう」
「時計はだあれも持つてない」
と、シメちやんが応じた。康子はあやしい腕時計をみながら、十時二十分ごろだと言つた。
「そんなら、ヨシ子さん、お頼みします。あした、また来てみら。お大事に、奥さん……」
二人の女たちは、番号札を康子の分と取りかえて、身軽にたちあがり、ふろしき包みを小わきに抱えたまゝ、さつさと行つてしまつた。
「ほんとにいゝかしら? せつかく……」
と、康子は、あまりのことに口もきけないほどであつた。
「あの二人は、どこへ行くにもはなれたことはないんだから、あれで満足なのよ。わたしは、すこし別なの。