Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
「これが自分のものになるのかしら。」
銀子も淡い慾がないわけでもなかったが、それも棒が吭へ閊えたようで、気恥ずかしい感じだった。
ある日も親爺が見番で将棋を差している隙に、裏通りをまわって栗栖の家の門を開けた。栗栖はちょうど瓶に生かったチュリップを、一生懸命描いているところだったが、
「お銀ちゃんか。どうしたい。しばらく来なかったね。」
栗栖はパレットを離さず、刷毛でちょいちょい絵具を塗っていた。
銀子は休業届を出し、ずっと退いていたので、栗栖は座敷では逢うこともできなかったが、銀子も少し気の引けるところもあって、前ほどちょいちょい来はしなかった。やがて彼はパレットを仕舞い、画架も縁側へ持ち出して、古い診察着で間に合わしている仕事着もぬいで、手を洗いに行って来ると、
「ちょうどいいところへ来た。田舎から大きな蟹が届いたんだ。」
栗栖は福井の産まれで、父も郡部で開業しており、山や田地もあって、裕福な村医なのだが、その先代の昔は緒方洪庵の塾に学んだこともある関係から、橋本左内の書翰などももっていた。
「そんな画お金になるの。」
「そんな画とは失礼だね。これでも本格的な芸術品だよ。