Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans

Aozora Bunko

技術はとにかくとしてさ。」

洋楽のレコオドを二三枚かけ、このごろ栗栖が帝劇で見た、イタリイの歌劇の話などしているうちに、食事ができ、銀子が見たこともない茨蟹の脚の切ったのや、甲羅の中味の削いだのに、葡萄酒なども出て、食べ方を教わったりした。銀子は栗栖の顔をちょいちょい見ながら、楽しそうにしていたが、栗栖がちらちら結婚の話に触れるので、蟹の味もわからなかった。

「来月になると、休暇を貰って田舎へ行って来るよ。親爺は田舎へ帰って来いと言うんだけれど、僕もそんな気はしないね。」

「遠いの? どのくらい?」

「遠いさ。君も一度はつれて行くよ。実はその話もあるしね。」

銀子は頷いていたが、やっぱり自分も大胆な嘘吐きなのかしらと、空恐ろしくもあった。

「しかしいつかの晩ね、僕も三年がかりで、聞いてみようと思いながら、まだ訊かなかったけれど、あの晩は何だかよほど変だったね。」

「そうお。」

「まさか毒薬を捜していたわけじゃないだろうね。」

「そうじゃないの。」

銀子は打ち明けて相談したら、何とか好い解決の方法があるかも知れず、独りで苦しんでいるより、その方が腫物を切開して膿を出したようで、さっぱりするかも知れないと、そう思わないこともなかったが、それを口へ出すのは辛かった。