Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans

Aozora Bunko

、今そうやって特殊の目的のために気を配って歩いていると、昔その辺を毎晩のように散歩していた気軽な下宿生活の匂いが、その時代の街の気分と一緒に、嗅げて来るのであった。濠端の近くにあった下宿の部屋が憂鬱になって来ると、近所にいた友人の画家を誘って、喫茶店の最初の現われとも言える、ミルク・ホウルともフルウツ・パラアともつかない一軒の店で、パイン・アップルを食べたり、ココアを飲んだりした。ある夜は寄席へ入って、油紙に火がついたように、べらべら喋る円蔵の八笑人や浮世床を聴いたものだった。そうしているうちに、彼は酷い胃のアトニイに罹った。

「あれから何年になるか。」

彼は振り返った。

神保町の賑やかな通りで、ふとある大きな書店の裏通りへ入ってみると、その横町の変貌は驚くべきもので、全体が安価な喫茶と酒場に塗り潰されていた。透かして視ると、その垠に春光館と白く染めぬいた赤い旗が、目についたので、庸三はどうせ無駄だとは思ったが行って見た。するとその貧弱なバラック建の下宿兼旅館の石段を上がって、玄関へ入って行った彼の目の前に、ちょうど階段の裏になっている廊下の取っ着きの、開きの襖があいていて、その部屋の入口に、セルの単衣を着て、頭の頂点で彼女なりに髪を束ねた葉子が、ちょこなんと坐っていた。