Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
ほっとした気持で「おい」と声かけると、彼女は振り返ったが、いくらか狼狽気味で顔を紅くした。そして籐のステッキを上がり框に立てかけて、ずかずか上がろうとする庸三に、そっと首をふって見せたが、立ち上がったかと思うと、階段の上を指さして、二階へ上がるようにと目で知らした。庸三はどんどん上がって行った。彼女もついて来た。
「ここ私たちの部屋ですの。」
そう言って葉子は取っ着きの明るい部屋へ案内した。感じのわるくない六畳で、白いカアテンのかかった硝子窓の棚のうえに、少女雑誌や翫具がこてこて置かれ、編みかけの緑色のスウェタアが紅い座蒲団のうえにあった。朝鮮ものらしい蓙の敷物も敷いてあった。
葉子は彼を坐らせておいて、一旦下へおりて行ったが、少し経ってから瑠美子を連れて上がって来た。
「おじさんにお辞儀なさい。」
瑠美子が手をついてお辞儀するので、庸三も頭を撫で膝へ抱いてみた。
「どうしたんだい。誰かいるの、下の部屋に。」
「職人ですの。――あの部屋が落着きがいいもんですから、今壁紙を貼ってもらっていましたのよ。」
「それでどうしたんだね。」
「近いうち一度お伺いしようと思っていましたの。