Classiques japonais avec furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lisez 第二の接吻 (だいにのせっぷん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 121 960 caractères · 247 écrans
五
もう倭文子が、それをきいて京子に対する義理から、自分を思い切るというなら、自分も男らしく、倭文子の言葉を甘受しよう。そう決心して、彼は絶望の中に、すんだあきらめを得た。
だが、京子が葉山のどこに滞在しているか、まだわからなかった。すると土曜日の午後三時頃である。彼は仕事が一段落すんだので、たばこに火をつけていると、いつの間にか社長、今井が、自分の机の側に来て立っていた。
「おい。村川君。京子さんはまだ帰って来ていないかい。」
「いいえ、帰っておられません。」
「今日あたりまだ帰って来そうにないかな。」
「まだそんな容子はありません。」
「ああそう。」
今井は立ち去りそうにした。村川はふと思いついてきいた。
「葉山はどちらにおられるのでしょう。」
「僕の家の別荘にいるんだよ。」
今井は無雑作にいいすてて、社長室の方へ去った。村川は思いがけない福音に、世の中が急に明るくなった。
「よしこれから行ってやろう。」
彼は心の中にそう叫んだ。
五
「え。東京からのお客ですって。まあだれ!」
京子は、さすがに、おどろいた。
「村川さんという方です。」
「村川さん!」
美しい顔が曇った。