Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 137 868 caractères · 278 écrans
「あの、お客様ですが」
平次の女房のお静が、片襷を外したまま、覗き加減に声をかけました。
「どこの方だい」
「名前はおっしゃいません、若い、御武家風のお嬢さんで」
「丁寧に通すんだ」
平次はガラッ八と顔を見合せました。間もなくお静に案内されて来たのは、成瀬九十郎の娘お加奈――ガラッ八が夕顔の花に譬えた淋しい娘です。
「アッ、お前さんか」
素ッ頓狂な声を出したのはガラッ八でした。
「親分、お願いがあって参りました」
お加奈は部屋の隅の方に、慎ましく手をつくのです。
「どうしてこの平次のところへ来る気になりました」
「父から教わりました」
「?」
「父は常々、江戸中で怖いのは、銭形平次たった一人と申しておりました」
「…………」
平次は少し擽ったく首を縮めました。
「その父を親分は疑っているに違いございませんが、父は正直一途の浪人者で、山脇玄内などという泥棒ではございません」
お加奈はピタリと言い切って顔を挙げるのです。
「その証拠は、お嬢さん」
「第一に、山脇玄内が尾州様、御金蔵に泊って二千両盗ったという晩、父はどこへも出ずに左内坂の宅に居りました」
「証拠は?」
「私が一緒に居りました、これほど確かな証拠があるでしょうか」