Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 137 868 caractères · 278 écrans
日頃は醜い蝦蟇かなんかのように思っていた貫兵衛も、今の場合では、たった一人の救いの神でした。ほとんど素面で、艫からこの狂態をジッと見詰めている貫兵衛の冷たい顔には不気味なうちにも、妙に自信らしいものがあったのです。
「怖がることはないよ、あいつらは騒ぐことが好きなんだ、――あんなにゲラゲラ笑いながら、滅茶滅茶に踊り狂いながら、地獄の底まで道中するんだ」
貫兵衛の醜い顔は、悪魔的な冷笑に歪んで、六人の狂態を指した手は、激情に顫えます。
「助けてエー、旦那様」
お蔦は思わずすがりついた袂を離しました。冷静を装う貫兵衛の顔には、踊り狂う六人の顔よりも物凄いものがあったのです。
その騒ぎの中から、船頭の三吉はヒョロヒョロと艫に戻りました。
「退いてくれ、――俺は、大変なことを忘れていた」
片手業にお燗番の卯八をかき退けると、予て用意したらしい、木槌を取って、船底の栓を横なぐりに叩くのです。
「あッ」
お燗番の卯八は後ろから、その身体を羽交締めにしました。こでで船底の栓などを抜かれたら、船の中の九人は、ひとたまりもなく溺れ死ぬことでしょう。
「止してくれ、――邪魔しやがると、手前のガン首から先に抜くぞ」