Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 137 868 caractères · 278 écrans
縁側に崩折れたまま、血汐の中に息が絶えておりました。
いつ、どうして殺されたか、母屋に居る奉公人達は何にも知りません。翌る朝になって、手代の清松が庭から声を掛けると、雨戸は一枚だけ開け放ったまま、カンカンと朝陽の入る中に、五十男の主人五左衛門は脂ぎった死体を横たえていたというのです。
騒ぎは一瞬のうちに、山名屋を煮えくり返らせました。
銭形平次が飛んで行ったのはそれから一刻の後。一と通り現場を調べると、雨戸は確かに主人山名屋五左衛門が開けたもの、寝巻の浴衣を着たまま、人を迎えたか送ったか、ともかく、縁側に立ってうっかり月か何か眺めたところを、沓脱にいた曲者が、下から脇差で、一と思いに左乳の下を突き上げたものです。
中を調べると、番頭の元吉の言い分では、離屋の金箱に入れておいた五百両の小判が、綺麗になくなっております。五左衛門を突いた脇差は、その辺に見当らず、奉公人達には別に怪しい者もありません。
番頭の元吉は五十前後、三十年も奉公した白鼠で、しっかり溜めてはいる様子ですが、溜める事に興味を持ちすぎて、盗ることなどは考えていそうもありません。こんな肌合の人間は、百両盗むよりも、五十両誤魔化す方に情熱を感じるでしょう。