Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「ねえ、お嬢様」
タッタ、タッタと、駕屋の足と速度を合せて駆けながら、中の月江に話しかけます。
「ねエ、お嬢様、うれしいでしょう」
「私は、何だか胸がワクワクして、嬉しいのだか、悲しいのだか分らない」
「金吾様は、そのまま死んでしまいはしないかと、それを心配しているのでしょう。……だが、それは大丈夫ですよ、水を飲んだだけですから」
「私は、駕の中で、今もじいっと祈っているんだよ」
「だが、胸が晴々するじゃありませんか。御隠家様を斬った日本左衛門が、やがて、獄門に首をさらすんだと思うと、仇を討ったような気がします」
「やはり、お祖父様が、金吾様の蔭身について守っていて下すったんだね」
「そうかも知れません、金吾様は、今にお嬢様のお聟様になるお方ですから」
「何をいうの、次郎は」
「ホイ! また石のやつに躓きました」
喋舌っていると、道の遠さも分りません。
汗をしぼった二挺の駕は、またたく間に神田橋から外濠に沿って、金吾と日本左衛門が引き上げられた場所まで駆けつけました。
だが、そこに矢立と手帖を持って立っていたのは、大番組の侍四、五名と、町奉行の与力同心と、外濠の番小屋の小者や仲間などで、もう金吾も見えなければ、日本左衛門も倒れておりませんでした。