Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

官庫の闇

オイオイお蝶、いい加減にしろよ、いい加減に――。

何をつまらねエ奴に、いつまで引ッかかっているんだ――といわないばかりの鼻先を凍らせて、木蔭に、弥蔵をきめて屈んでいる。

官庫の闇

男の手招ぎに気がつくと、聞くのもじれッたいヨハンの話などは、もう耳にも入らないで、お蝶はその方へ馳け出しました。

「龍平かい?」

屈んでいた影は、しびれをきらした膝ぶしをなでて立ちながら、面をふくらまして、

「で、ございましょうよ」

「悪かったネ、遅くなって」

「お嬢さん、じょウだんじゃありませんぜ」

「オヤ、何が? ……」

「何がって、ばかばかしい、大事な約束を前にしながら、この寒空に、龍平を高野豆腐みてえに忘れッ放しでいいんですか」

「そんなに怒るもんじゃないよ。だッてね、今夜に限って、あのヨハンが私を見かけると、頻りに妙なことを言いかけて、離さないのだもの」

「あんな、生命の火がとぼり切れているキリギリスなんぞに、生半可やさしい言葉をかけると、かえって思いが取ッつきますぜ」

「ア、いやだ……そんなことを言ッちゃあ」

ぶるッと、怖そうな表情をして、男の腕に巻きついたが、その柔らかい手は、少しも真から怖そうな脈のひびきではありません。