Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

草いきれ

で――逃げろとも言い合わずに、道をそれて一方の代官原という空き地のしげみへ、泳ぐように逃げこんでゆく。

その附近まで追いかけて来てふいと、二人を見失った相良金吾は、いったんその空き地を駆け抜けてしまいましたが、それより先一すじの片側町にも、また十字路になる石和街道の方角にも、先の姿が見当らないので、ふたたび後へ立ち返って来ました。

草茫々たる空き地の中ほどには、骨ばかりになった古屋敷と累層した古瓦があり、それをめぐらす土塀のあとらしいものも見かけられます。ここの数町四方を代官原と土地のものがよぶところをみると、それは半世紀前の甲府代官の陣屋跡かも知れません。

「たしかにこの辺まで、二人の姿が見えたのだが……」と金吾は足を回してその辺りの雑草のなかを踏み分けてみます。

青い羽の虫が彼の跫音に飛んで逃げる。

「はて、何処へ隠れたのだろうか」

くずれた土塀の根石へ腰をおろして、一汗ふいていた時であります。彼にはかつて見かけたことのない四十前後の旅ごしらえの町人が、その土塀に沿ってつかつかと彼の前へ歩み寄って来て、

「相良様、見つかりませんか」

と意外なことばです。