Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

甘酒茶屋

次郎は強情にかぶりを振って、

「これを食うくらいなら、何もおいらは心配をしないことさ」

「へえ……」と、あきれた顔をして、「じゃお前さんは、腰に飯をぶらさげていながら、腹を減らして困っているのかね?」

「アアそうだよ」

「分らない子だ、何でそんな、くだらない痩せ我慢をして、よろこんでいるのだろう?」

「何も、おいらだって、こんなペコペコな腹をかかえて、よろこんでいるものか」

「じゃ、食べたらよかろう、その弁当を」

「大きにお世話様だよ」

と、口を尖ンがらして、次郎がこの年寄にいって聞かすことには、

「自分が弁当を持っているからって、おいらだけ美味い思いをして、もしやあとの二人が食べずにいたら、それこそ済まない話じゃないか。だから、二人に行き会わないうちは、この飯が腐るまで、おいらは食べずにいる覚悟だ」

それを聞いて、その義理固いのに、甘酒茶屋の年寄がひどく、感服したものですから、無一文なのを承知して、名物の甘酒を次郎の空腹に恵みました。

思いがけない接待に、彼は、ふウふウとその熱いのを吹きながら、

「ああ、うまい」

舌つづみを打っては、額の汗をこすッている。

「おいしいかね、小憎さん」