Classici giapponesi con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate
四
常磐の場合でもそうだったのである。その頃、清盛はまだ見る影もない布衣だったし、義朝は得意のさかりであった。
が――今は。
余りな変りようである。清盛も感慨なしにはいられない面持であった。ややしばらくたってから彼は初めて常磐に云った。
「乳は出るか。……乳はたくさん出るのか」
四
恐い人と噂にも高い六波羅殿である。その清盛の事だから、どんな激越な吟味ぶりかと思いのほか、
――乳は出るか。
という質問が、最初に出たので、常磐も意外であったろうし、侍側や問罪所の諸人も、あっけにとられた顔して、黙り返っていた。
「…………」
片手に牛若を抱いているので、片手のみを床につかえたまま、常磐がかすかに顔を横に振ると、清盛はうなずいて、
「出ないか。さもあろう」
と、独り喞つようにまた、
「わしの母親も、貧乏の頃は、乳が出ぬので、悩んでおった。女親とは、愚かなもので、ない食べ物も、あるように見せて、良人へ喰わせ、這う子に与え、自分は喰べぬうえに、乳呑児に乳をせびられる。堪ったものではない」
「…………」
「さすがに義朝を、うつつにさせた其女の容色も、あわれや、見るかげもなく窶れたなあ」