Classici giapponesi con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate
二
二
元、いずれの家人の成れの果てやら、森山の宿に、源内兵衛直弘とよぶ怖らしい牢人者が住んでいた。
昼のうちこの辺りまで、六波羅の武士が来て、宿場の長や、沙汰人どもをあつめ、訓示して去ったことばには、
「左馬頭の一族、そのほか源氏の家人どもが、飢えに糧を求め、矢傷に薬を乞いなどして見えたる折は、親切顔して、小屋へ入れよ、入れ置いてすぐ、地頭へ訴え出るなり、沙汰人や地侍たちで力を協せ、縛め捕ってつき出すもよろしい。――いずれにせよ、用捨すな。匿うたら断罪に処するぞ。またよい落武者討ち取って、首を証しに持参なせば、それも由々しい汝らの出世となろう。一代富貴の基ともなるほどなご感賞にあずかるあずからぬも、この折だぞ」
と、あった。
人は待春とか年暮とかいえ、源内兵衛は秋からの布子一袖。洟たれの子、しらくも頭の子、ひかん病みの子、乳の出ぬ乳に泣く子と吠える女房などの住む茅ら屋から、この布令を知ると飛び出して、
「春の跫音が聞えるぞ」
と、裏藪の竹を伐った。
削いだ切っ先へ油を塗り、猪追い眼を光らして、昼間から諸処をうろついていたが、春の跫音は眼には見えない。
夜になった。