Classici giapponesi con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate
三
「ここは、われらで殿軍をいたせば、方々は、もっと奥地へ遠く引揚げて、いよいよ足場を占めて備え立てなされ」
と、味方へさけびながら、もう敢然と、敵の白刃を迎えていた。
退くのが賢明――と思いながら、やはり、そういう味方ほど捨てきれないで、誰しも後ろ髪をひかれるとみえ、頼朝を初めとし、時政父子までが、山の中段に踏みとどまり、矢数のあるかぎり射つづけていた。
三
景廉の父、加藤五景員は、子を気づかって、最後まで踏み止まる。
大見平太の兄政光も、弟に心をひかれ、殿軍の勢に交じって、乱軍の中へ駈け入った。
そのほか、加藤太光員、佐々木高綱、堀藤次、同じく四郎、天野遠景、同じく平内など、わき目もふらず、敵へ当ってゆく。
「うぬっ」
「おおうっ」
「かッ」
と、いうような喚きと喚きが、甲冑の響きや剣の音に入り交じって、この世のものとも思われない凄愴な谺を呼んだ。そして焦けつくような谷間河原は、見るまに、そこらの石も夏草も血でない所はなくなった。
矢だねも尽きると、みな太刀長刀の接戦になった。平家方は、大庭景親をはじめ、重なる者は騎馬だったが、石ころの多い谷あいでは、名馬の逸足も、かえって敏捷な敵にその脚元を薙ぎられたり、蹄を躓かせないため活躍の自由を欠いたりするので、