Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 230.599 caratteri · 458 schermate

Aozora Bunko

六月二十三日

しみじみそういうことを感じながら歩きました。感動し得る、という感銘をうける顔さえ少いのですものね。何かそういうものとはまるでちがった日常の打算だの何かで面をつけたようなツラをしていて。それは人間の顔ではない、でも人間の顔だというところにバルザックの世界はあるのだわ。美しいものを限りないその美しさのまま、醜さをその醜さでちゃんとうつす顔、そういう顔、そういう人間の顔、をもっている女はすくないわ。全くすくないわ。

ねえ、こういう感情があるでしょう? 美しさは固定していなくて、益※(二の字点、1-2-22)その美さの中に誘われようとする心、美しさの中に自分を溶かそうとする願い、私の人間の顔は果してそういう願を表現するだけ修練されているでしょうか。

詩集の別冊をくりながらそれを考えているの。そして、頁をくりながらこの作者は、美しさにうたれたものが、辛くもわが身を我から支えて歩くそういう時の描写をまだしていないことを見出しました。あなたはどこかでもうお読みになったかしら。

六月二十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

六月二十三日  第三十信

二十日のお手紙、二十一日に頂き、きのうその返事ゆっくり書こうと思って先ず目前の仕事を片づけていたら林町から電話で、佐藤功一さんの死去のしらせ。