Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 230.599 caratteri · 458 schermate
十月二日
太郎がわきのベッドに入って、山羊の文鎮をもってねています。お風呂のぬるいのに入って遊んで、さむくなって、二階へくっついて来てベッドへ入っているのよ。
ところで、きのうの夜の風はひどうございましたね。夜中に幾度も目をさまして、ああこの風がガラス一重に吹き当るときはどんなだろうと思いました。ガラス越しのうすら明りだの、そこに揺れるまとまりないかげだの音だの、そういうものを想像いたしました。目白だったらこわかったろうと思いました。あすこは南が実にふきつけるのよ。
三十米の風速だったのね。先年、てっちゃんのうちの羽目がとばされたりしたときは四十米以上ありました。山陽線又不通よ。そして大分で、汽車が河に落ちて、百二三十人死にました。大半は中学生の由。
きょうは私はうれしい心持よ。やっとやっと夜具が送れましたから。この頃はどこも手がなくて、約束していても急にその職人が出征したという風で、夜具も、袖のある方はうちで縫ったのよ。本を見て。そして職人を呼んで綿を入れさせ。ああ、ほんとに気が楽になったこと。袷は、ちょいとよそゆきの方が、先になってしまいましたが、近いうち、例のをお送り出来ますから、そしたらそっちをしまっておいて頂戴。