Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
三
「しばらく――」と、駒をおさえて頭をさげた。
三
「なんじゃ、民部」
「お怒りにかられて、これより人穴の殿堂へかけ入ろうという思し召しは、ごもっともではござりますが、民部はたってお引きとめもうさねばなりませぬ」
「なぜ?」伊那丸はめずらしく苦い色をあらわした。
「けっして、かれをおそれるわけではありませぬが、音にきこえた天嶮の野武士城、いかに七騎の勇があっても攻めて落ちるはずのものとは思われませぬ」
「だまれ、わしも信玄の孫じゃ! 勝頼の次男じゃ! 野武士のよる山城ぐらいが、なにものぞ」
かれにしては、これは稀有なほど、激越なことばであった。民部には、またじゅうぶんな敗数の理が見えているか、
「いいや、おことばともおもえませぬ」
と、つよく首をふって、
「いかに信玄公のお孫であろうと、兵法をやぶって勝つという理はありませぬ。なにごとも時節がだいじです。しばらくこの裾野にかくれて呂宋兵衛が山をでる日を、おまちあそばすが上策とこころえまする」
「そうだ」
その時、横からふいにことばをはさんだのは竹童で、さらに頓狂な声をあげてこうさけんだ。
「そうだ! おいらもうっかりしていたが、そいつは今夜きっと山をでるよ、うそじゃない、きっと山をでる! 山をでる!」