Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate

Aozora Bunko

果心居士と愛弟子

一

それらのあわれな物のかげをつづった竹童のすがたは、星影の下にあおく隈どられて見えたが、かれの目には、ただ一粒の春の星さえ、うつらぬのである。

見えぬがために、見ようとする、心の異常なはたらきが、心眼ともいうべき感覚を全身にするどく研いで、右手につかんだ般若丸を、おのれの背なかにかくしながら、

「蛾次郎……蛾次郎はどこへいった!」

八神殿の石段にそって、裏宮の方へしのびやかに歩いてくる。おお、その影のいたましくもおそろしい。

かれは、心のうちでこう叫ぶのだ。

返せクロを! 返せクロを!

おいらの手から横奪りした、あの鷲をかえせ、おいらの手にタッタいまかえせ!

竹童の目は見えないはずでありながら、その一念に、あたかも、なにものかを、的確に見ているように、いうのであった。歩きだすのであった。

でてこい蛾次郎! 泣き虫の腰ぬけ。

でてこい蛾次郎、どこへいった!

よくもよくもクロをうばったな。また、よくもさっきは、この竹童を盲とあなどって、土塊をぶつけたり、お師匠さまの悪口をたたいたり、そして、鞍馬の竹童のことを、天下のお乞食さまとののしり恥ずかしめたな。

おまえはさっきたいそうなじまんをいった。