Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
四
いかにも、太い樺の根こぶには、鷲をつないでおいた鎖だけが残っている――そしてクロがいない――そして三人の侍が肉を裂かれている、この謎をなんと解いていいか?
「わかった!」
征矢のごとく林を馳けだした。
かれの目は怒りにつりあがっている。
血走った涙をたたえて空をあおいだ……
だが空にもクロは見えなかった! 裏切り者の黒川八十松め、あれが、自分によって飛行変現の自在につかわれる器だと知って、逃がしたのだ! 鎖をきって空へはなしてしまったのだ。
人をのろわば穴二つ、あの猛禽の鎖をきった三人は、立ちどころに、自分がはなした鷲の爪につかまれて、四肢を裂かれてしまったのにそういない。
思いあわすと、きょうはまだ一回も、クロに餌をやっていない。その餌にすべき小鳥やけだものを狩りにいって、ちょうど、陣馬へ帰ってきた時に、今夜の騒動が起ったので、それなりにほうっておかれたクロは、さだめし飢えていたであろうと思われる。
飢えた猛禽は、折からよき餌食と、三人の荒武者の肉をさき、血をすすって、樺の林からぬけあがった。
「やっぱり、砦を枕に死ねというしらせだ」
かれはいつになく、その行方を軽くあきらめて、ふたたび黒煙のとりでへ影をまぎれこませてきた。