Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate

Aozora Bunko

裾野の闇に乗じられて、まんまと、六部の龍太郎のために、大せつな主君を、うばいさられた、かれの無念さは思いやられる。

したが、不屈なかれ忍剣は、たとえ、胆をなめ、身を粉にくだくまでも、ふたたび伊那丸をさがしださずに、やむべきか――と果てなき旅をつづけていた。

おりから、天下は大動乱、鄙も都も、その渦にまきこまれていた。

この年六月二日に、右大臣織田信長は、反逆者光秀のために、本能寺であえなき最期をとげた。

盟主をうしなった天下の群雄は、ひとしくうろたえまよった。なかにひとり、山崎の弔い合戦に、武名をあげたものは秀吉であったが、北国の柴田、その他、北条徳川なども、おのおのこの機をねらって、おのれこそ天下をとらんものと、野心の関をかため、虎狼の鏃をといで、人の心も、世のさまも、にわかに険しくなってきた。

そうした世間であっただけに、忍剣の旅は、なみたいていなものではない。しかも、酬いられてきたものは、けっきょく失望――二月あまりの旅はむなしかった。

「伊那丸さまはどこにおわすか。せめて……アア夢にでもいいから、いどころを知りたい……」

足をやすめるたびに嘆息した。