Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
「えいッ」ひとり矢はずに投げつけた。
「野郎ッ」
「兄弟――ッ、仲間のやつらを呼んでこい」
「おうッ」
というとはねおきた一方の男は、脱兎のごとく茶店のそとへ飛びだして、なにか大声で向こうの並木へ手をふった。
と――見る間に、くるわくるわ、どれもこれも一くせありげな道中人足、錆刀や息杖を持ちこんで、
「なんだなんだ」
「その野郎か」
「生意気な鉦叩き虫め! ぞうさはねえ、その女も一しょにつまみだして、二本松の枝へさかづるしにつるしてぶんなぐれ」
理も非もあったものではない。
まっ黒になって茶店の入口になだれこみ、あッと宮内があきれるうちに、床几の上にすえておいた地蔵菩薩の笈摺を、ひとりの男が土足でガラガラとけおとした。
「ウーム……」
と、宮内のまなじりが朱をそそいで引ッ裂けた。
いかに、とるに足らないあぶれ者とはいえ、一念に自分の信仰する地蔵菩薩のお像を、馬糞だらけな土足にかけられては、もうかんべんすることができない!
見そこなったな、この青蠅め!
いまでこそ身は童幼の友と親しまれ、背には地蔵の愛をせおい、軒ごとの行乞、旅から旅をさすらい歩くながれ人にちがいないが、竹生島に世をすてて可愛御堂の堂守となる前までは、これでも、鬼柴田権六の旗本で、戦塵裡に人の生血をすすりながら働きまわったおぼえもある菊村宮内。