Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Leggi 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 511.765 caratteri · 1011 schermate
八
「危険をおかして、どうしておまえは、そんなものをわしに運んでくれるのか」
こうきいた時には、もう下へ降りていた。忍剣には、それが見えない。
翌日、小雨が降った。
なにか木の葉でつくった蓑のようなものが、彼のからだに着せられた。その時から、忍剣がなにをきいても、猿は返辞をしなかった。
そして、おなじ味の食物が、毎朝、一片ずつ木の上へはこばれてゆくこともかわらなかった。
昨日も今日も、山は天気つづきである。
空の青さといッたらない。樹林の梢をすいて見える清澄な秋の空の青さ――
うつくしい朝陽の光線が、ほそい梢から、木の根の苔から、滝壺の底の水の底まで少しずつゆきわたっている。鵯、文鳥、駒鳥、遊仙鳥、そんな小禽が、紅葉を蹴ちらして歌いあった。朝きげんのいい栗鼠、はしゃぎ者のむささび、雨ぎらいの貂、などが尻ッ尾を振りながら餌をあさりに出だした。そこらに山葡萄は腐るほどなっている。栗の実はいたるところに割れている。プーンと醗酵している花梨の実、熟れた柿は岩のあいだに落ちて、あまい酒になっている。鳥も吸え、栗鼠ものめ、蜂もはこべと――。
今朝のここは楽園だ。