Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「なるほど、お蝶の言ったのは嘘ではない。おれが金に困っているので、切支丹屋敷の官庫の中から、何か持ち出して来ようという気だろう。イヤハヤ、娘心のひとすじと言うやつは怖ろしいものだテ」
天下の色男はわしかしらと、長い顎を抑えてニヤリと悦に入った先生は、買物に入った女房を店の外で待っている男のように、そこで再び彼女が出て来るのを待っている。
ところが、豈計らんやです、お蝶はその頃、宗門方の若侍が役宅から出て行くように、通用口の門番に門鑑を示し、山屋敷の表からサッサとそこを立ち去っていたのであります。
で、それから先の彼女の行動は、遂に先生の知るよしもない事。
先生はその翌日、銭はないが大道へ稼ぎにゆく勇気もなく、炬燵に狸をきめていましたが、いつかトロリとしたところへ、
「あら、寝ているの?」
お蝶の嬌笑が障子を開ける。
何だか狐につままれたような気持で、馬春堂は眼をこすっています。
「これは約束のお金、少しですけれど、当座のお小遣いにして下さい。またなくなったらいつでも、切支丹屋敷から持ち出して来て上げますからね」
馬春堂の寝ぼけ眼をハッと覚ましたのは、お蝶が、無造作にそこへ置いた二十両ばかりの小判の色。