Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
そこに辛さがありました。
「憎むべき万太郎の悪戯――さて何としてくれようか」
じりじりと思いつめた揚句、ふと、こうもしようかと案に浮かんだ一策、源次郎に旨をふくませて、ついにある夜のこと、本丸の寝所からこっそりと外へ忍んで出ました。
本丸の甍は、夜がすみに汗をかいて、おぼろな春の夜更けた月が、紅葉山の森にぼんやりとありやなしやの光です。
「源次郎」
「上様……」
目と目にうなずき合って、番士の眼をおそれながら、ひらりと何処へか影を消しました。
その支度は、二人とも黒の頭巾、そして総身黒の扮装に軽装していたようです。――その用意と時刻とを思い合せますと、吉宗はいよいよ忍耐ならないで、自身、徳川万太郎の憎むべき行為の実相を突き止めようと思い立ったものに相違ありません。
しかしながら、彼と小姓が、あんな姿で、この朧夜を吹上へさまよい出して行くと、かえって風説は将軍家それ自身の影までを、妖鬼と見てしまいはせぬでしょうか。
こよいも錦霜軒から起き出して、吹上の奥をさまよい歩く覆面の人影が二つ。
長局の女たちが取沙汰の種となったのはその影ではありますまいか。そうとすれば、妖鬼すなわち、徳川万太郎と相良金吾であります。