Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
青い星明りの下、お蝶は、ほっと息をついている。
息を休めながら、彼女の鋭い目くばりは始まりました。そして彼方、此方と、しきりと探し歩くうちに、昼間、吉宗が旗本たちにあばかせた血塚の前でハタと足を止めると、
「オオ、これだ……これにちがいない」と呟やきました。
見ると、夏草の伸びる頃には、その中に隠れてしまいそうな低い塚石がある。が、ふしぎなのは、その日の昼、鍬を入れた形跡もなく、踏みにじった痕も消えて、やわらかい枯れ草と山芝が少しの不自然もなく土をかくしていることです。
しかし、元よりお蝶は何事も知りません、確かにそれ! と飛びつくように寄って、石の肩を抱くように手をかけました。どうしてこの石の下を探ったものかと、そこで思案につき当ったものか、この石こそ血をうけた祖先の姿かと懐かしく思ったものか、とにかく、暫くそうしておりましたが、やがてその手が石の抵抗を試みるように、力をこめて向うへ押す。
案外にも、据えられてある石の根はもろく動いて、ごろッと向うへ倒れましたが――と思った途端です。
「お蝶ッ!」
榛の木立から、叫んだ日本左衛門が、餌に飛びかかる豹のように、彼女の姿を目がけて身を躍らせました。