Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

と。

音もなく、銀泥の襖が開いている。

流れこむ冷気に面をなでられて、徳川万太郎、ふッと、脇息から顔をあげると、金吾です。が、入口にたたずんで、辺りを見廻しながら、

「殿……」

「おお、金吾か」

「只今帰邸いたしました。時に、今ここを拙者と入れちがいに向うへ行った者は御近侍でござりますか」

「いや、別に……」

万太郎は、異なことをいう、という風な面もちで、

「誰もここへ呼びは致さんが」

「はてな?」

と、小首をかしげて、金吾はもう一度廊下の外を見廻したが、そういわれれば異状はないので、自分の気のせいであったかと思い直して、静かに室内へ入り、うしろの襖を閉めました。

「たいそう遅いことであったな」

「はい、意外に暇どりまして」

「して、娘は送り届けたか」

「は、小石川の同心組の近くまで参りました」

「ふウむ、すると何か、ありゃ同心組屋敷のうちの女中であったかの」

「ところが」

と、相良金吾は、やや不面目な様子をして、

「解せぬ娘でござります。殿の御親切を無にいたすばかりか、拙者に口実を申して、その同心屋敷の辺から、姿を消してしまいました」

「なに?」

と、万太郎は脇息を横へやって、