Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「大変ができたの」
「大変が」
「ヨハンさん」
「え……」
かれも昼のことが胸に思い当って、何か知れぬ不快な胸苦しさをおぼえながら、
「どうしましたか」
「こっちへ、こっちへ、ヨハンさん。もっとこっちへ寄って、耳をかして頂戴」
「なに」
と、そばへ行って、赤いくちびるへ顔をよせると、鉄窓の下の方からいきなり、短い刃物の切ッ先が、ヨハンのわき腹をねらッて勢いよく突いて来ました。
刃のはいった牢のなかは真ッ暗で、どうなったやら分りませんが、罠にかまれたようにお蝶の姿は、
「ちイッ……」
と、鉄格子の間に手をつッこんだまま、唇をかんでもがいている。
「オオ美しい悪魔」
やがてヨハンがいいました。
声の様子ではべつに怪我もなく、中でしッかとお蝶の手を抑えつけているものらしく、
「なんで私を殺そうとしますか」
「な、なにがッて」
お蝶は眉をしかめて、死ぬ苦しみをこらえながら、
「お前が、わたしのお父さんを殺したから、私もおまえを殺してあげる」
「えッ、二官殿が死んだッて」
急にブルブルとふるえるのが、お蝶の腕にも激しくひびいて、
「ほんとに、二官殿は死なれたのか。あの一途な気持で……ええ、しまッた」