Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
髪は麻糸でそッけなくうしろへ結び、なりは手織りの筒袖に、黒のもんぺときまッていて、腰の短い山刀が、この小童の風采を、すこし異様に光らせています。
「おう、次郎さんかい」
「え」
月江の返辞がなくて、うしろで呼んだ者があるので振顧ると、
「お嬢様は、お前をさがしにゆくといって、さっき出かけたきり、まだお帰りがないようだ」
と、顔なじみの、宿の下男が来て、おりんも一緒であることまで教えました。
「へ……そうかい」
次郎は、障子の閉ててある二階を見ながらキョトキョトして、
「どッちの方へ行ったか、おじさん、知ってないかい」
「さあ、下の法斎湯の方へ降りてゆくうしろ姿は見たが、その先は知らないな」
「アア、あの法斎きちがいか」
次郎はふところへ手を突ッ込んで、藁や髪の毛や木の葉でまるまッた鳥の巣を、両手で大切そうにとり出して、
「おじさん、これを預かッといてくんないか」
「なんだいそれは」
「鳥の巣さ」
「鳥の巣は分っているけれど、一体どこで取ったんだ」
「東光寺の欅の木へ登って、やっとおさえて来たのさ――お嬢様に見せようと思ってね。おじさん、風呂場の隅へ仕舞ッといてくんないか」