Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「そんなはずはない」と、久米之丞は頑張って――「確かにその女が所持していたに違いないが」
「はて、ではたれか店の衆のうちで、それを見た者はありませんか」
と手代に聞いていると、ひとりの丁稚が、
「旦那さん、いってもかまわないんですか」
「いいとも。わしが正直にお答え申しているのに、何をかくし立てする事があるものか」
「じゃ、いいますけれど、その鬼女の仮面みたいな物を、あの女の人がかくして持っていましたよ。私も、変だなと思っていたんです」
「ほんとか」
「嘘なンかいやしません。着物を更える時に、袂から袂へ入れるのを、ちゃんと、見ていたんですから」
「それだ! まぎれもない洞白の仮面」
と、久米之丞が傍らの月江を見ますと、このかんじんな話をよそに聞いて、彼女はあらぬ方へ向いています。
――というのは、最前から、店先へのッそりとはいっていた編笠の侍が、笠のまま、ふところから一個の印籠を出して、
「おい、これで二歩ほど貸してくれ」
と、手代の前へポンと抛り出したので、その編笠と印籠とを、物めずらしげに見較べたのでありましょう。
刀の鐺を突いて、久米之丞はもう立ち腰になりながら、