Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate

Aozora Bunko

「ところで、亭主」

「はい」

「もう一つ聞き置くが、その怪しげな女は、当家で身装を更えてから、何処へ行くといっていたであろうか」

――店先では、編笠の浪人が、抛り出した印籠に質の値をつけさせて、番頭を相手に何やら押し問答をしているふうでありました。

田能平の主は小首をかしげておりましたが、やがて思い出したように、

「そういえば、店を出る時、小仏越えの道程を聞いておりました。女の足では難儀でしょうか――などと申しまして」

「ふーム、では甲州路へ向ったな」

「左様かも知れませぬ」

小仏峠へ?

――久米之丞が、じッと思案顔をしていると、店先に腰掛けていた浪人の眼も、編笠のうちで異様な光り方をして、聞かぬ振りをしながら耳を澄ましているかに見えました。

「いや、邪魔をしたな」

と、久米之丞が突然に立ったので、月江も一緒に敷物をすべって、

「うるさい事をたずねて、気の毒をいたしました」

「いえ、どう仕りまして。これ、おはき物がそろえてあるか」

と、主は店先まで送って出る。

そこの上がり框に腰をすえていた浪人が、少し体を避けたので、

「ごめん遊ばせ」

と、月江は女らしく会釈をして、久米之丞と共に質屋の外へ出ましたが、二人がそこを出るとまもなく、浪人は、言い張っていた印籠を番頭の言い値にまけて、なにがしかの金を受け取ると、つづいて、田能