Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「うぬッ」
と、うしろから喉輪の閂。
片手に喉を締つけて、片手で月江の口をふさぎました。
瞬間、死ぬか――と思われた程、月江の顔色がサッと白く変りましたが、彼女の必死な手はここを最後と念じて、帯の間の懐剣を、肩の後ろへひらめかせる。
不意を食った久米之丞は、
「あっ」
と、彼女の体を突き放して、その途端に、紅に染まった自分の右腕をはッきりと見ました。
「ちッ、女と思って、よいほどにしておけば、よくも生意気な腕立てをしおッたな。おのれ、どうするか見ておれよ」
言うなり腰の長刀を抜いて、その朱い手に振りかざすや否、まことに、殺しかねまじき形相で、くわッと月江をにらみつける。
月江も三日月形の短い刃を斜にかまえて、寄らばと強く身を守りました。――しかし、彼女がそうして刃向えば刃向うほど、血を見た情炎の男は狂うばかりです。そして、相手にはまだ争う実力と呼吸において、多分な余裕をのこしているのです。
――それにひきかえて月江の方は、もう血色も呼吸も苦しげに迫っている。ねッとりと執念ぶかい男の刃は、かくて一寸二寸と彼女をうしろへ追いつめました。
(あっ! ……もう駄目だ……)