Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
そして、その動悸が月江の指に感じられはしないかと、恐ろしいような心地もするのです。
鬼面をかぶッた年下の長右衛門と、油気のない下げ髪のお半。
二人は、見たことのない夢をみるように、熊川の浅瀬を渡ってゆきます。
祭文に歌われた信濃屋お半の夢は、死という夢を美しくみながら川にはいりましたが、この二人はあくまで強く生きようとする体と体を重ねながら、水を踏んでゆくのであります。
祭文のお半の夢と、今みている自分の夢と、どっちがあぶないだろうか――とも、ことさら考えてみる二人ではありません。
月江は、少女のようにハシャいで、
「次郎や、口笛をお吹きよ、口笛を」
「そんなことを言ってもむりではありませんか。川を越えてから歌います」
「私は、おまえの背なかで聞きたいの。そして、このまま寝てしまいたいの」
「寝てしまッちゃいけませんよ。しッかり肩につかまっていなければ、川へはまッても、おいらのせいじゃないからいい」
「ああ、落としてごらん、おまえも一緒に抱きこんで上げるから」
「じゃ、落としてもかまわない?」
「ああいいとも……」
そうして二人は、もう一足か二足しかない岸へ近づいたのを惜しんでいます。