Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
「もう助からねえ」
駄目だ――という観念の方が濃くなって、逃げ出そう、助かろう、とする焦躁や気力は、日ましに燃えとぼれて来たのは事実です。
気力が枯れて、諦めの世界にはいると、退化的な解脱がはじまる。寝ても寝てもスウスウと眠りつづけられて、その状態があたりまえになってくる。
ふと眼をさました時です。雲霧の足もとに、大きな海鼠のようなものがグンニャリとしている。
「新助……か?」
「お」とも「ううん」とも言わないので、足を上げると転がりました。で、雲霧がさわってみると、やはりこいつもよく寝ています。
「誰だろう?」
そう思ったが、見るよしもありません。
「この中には、おれ達のほかにも、まだ随分人間が居るようだが……」と、何気なく撫で廻してみると顔がある。
顔があるのにふしぎはないが、新助の顔ではありません。かさかさとしたあぶらけのない顔。
雲霧の手がこくめいになで廻しても、その人間は一向さしつかえなく寝ています。まず輪郭をさぐッてみると、頭には髷がなく、総髪らしい形です。頬骨が高く、あぎとが出っ張って、並よりは長い顔の真ンなかに、段のついた羅馬鼻というようなのが、かすかな寝息を呼吸している。