Classici giapponesi con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Leggi 江戸三国志 (えどさんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 577.271 caratteri · 1141 schermate
しかも、どこかで覚えのあるような声がらなのです。
相手が、鯉口を切るばかりに用意しているのを見て、おりんはいたずらに騒ぐことの非を悟りましたから、じっと、眼を閉じて相手のなすままにこらえている。
と。
「おい」
気がついてみると、自分は決して、相手の力に束縛されているのではない。身を締めているのは、胸に結んでいる自分の腕で、今見た人影は、戸を閉めて、もうろうと廊下の中に立っています。
「おりん、なんでそんなに驚くのだ。……忘れたのか、おれの姿を。この声を」
「あっ、あなたは」
彼女が、よろめく背を、あやうく柱にささえて踏みとまると、目の前のもうろうとした影も、ゆらりと迫って、
「命の親を忘れるやつがあるものか。しかも、自分の肌までゆるした男を……」
白い歯が見える。
声をぬすんで笑ったらしい。
おりんは、総毛だつおののきをこらえるのに全力で、とても、救いを呼ぶ気力もなく、そこを逃げ去る足もすくんでいました。
と――相手はさらに寄って来て、
「どうだな、あれ以来、からだの工合は」
と、やさしい声でいう。
「もしッ……」
おりんは口惜しさに、やっと、反抗的に出ない声をわななかせて、