Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate

Aozora Bunko

砂金

一

――戞、戞、戞、戞

馬蹄はそろう。

十四の少年の心はおどる。あしたの事など考えていなかった。きのうの事も忘れていた。いや、たった今、禅尼から懇々と、出家召されよと諭されて「はい」と答えて来たことも忘れていた。

鞍つぼには、その禅尼から餞別にもらった、美しい双六の筥を、大事そうに抱えていた。そして警固の侍をつかまえて、双六のはなしなどしかけたので、検視役人季通は、

(すこし莫迦かな?)

と疑った。

粟田口へさしかかった。

並木の所々に、路傍の人がたくさん見に出かけていた。白い朝靄にまぎれて、地上に手をつかえて見送っている僧や牢人や市人たちもあった。

その中には、世をひそむ源氏の輩もあったにちがいない。人知れず、涙をながしていた者も尠なくはなかろう。――けれどもその朝、ことしの春の歓びを一つに持ったように輝いていたものは、多くの人々から、あどけない子よ、素直な和子よ、と泣かれて行った頼朝の顔だった。

砂金

一

年々、雪が解けると、彼は遠い奥州から上って来た。

大勢の仲間の商人と、それに附随するたくさんな下僕や男どもを連れ、何十騎という馬の背には、厳しい荷梱や岩乗な箱を結いつけて――駅路の鈴も物々しく、蜿蜒たる人馬の列を作して、この大商隊は、都入りするのだった。