Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みなもとよりとも

源頼朝

吉川 英治

Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate

Aozora Bunko

と、牛若が呼びかけた。

駒を繋いで、彼はそこに腰かけていた。見れば、女装の袂や紐は解きすてて、馬の背から荷物を下ろし、自分ひとりで身軽に扮装を着更えてしまった。そしてにこにこ笑っているのである。

吉次は、この時ほど、腹の立ったことはない。小面の憎い童めと、何か仕返しでもしてやりたいくらいに思ったが、そう苦り切っている間にすぐ、

「吉次。わしの脱いだ女の着ものは、持ってゆくのか。捨ててゆくのか」

「そんな物は……」

忌々しさを、唇に噛んで、吉次がつぶやくと、

「だって、これは潮音の着物だろ。潮音はそちの……」

と揶揄するような笑靨をつくる。

吉次はまた、肚のうちで呟いた。――あんな事を云やがる。何も知らない蜂の子と思っていたら大間違い、どうして、飛んでもなく、早熟ている!

「吉次、吉次」

「なんですか」

「不用ならば、その衣服は、この御堂の床下の奥へ、まろめて突っこんでおくがよい」

「へい」

つい返辞はしてしまうが、吉次は業腹でならなかった。いつの間にやら奉公人のようにこの餓鬼は人を顎で使う。

餌をやったり乳を与えたりしているうちに、豹の子にだんだん爪が生えて来たような形である。