Classici giapponesi con furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Leggi 源頼朝 (みなもとよりとも) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 306.118 caratteri · 613 schermate
「よし。――おまえ達は、以前の所へ戻って、なおもじっと、物見をしておれ。そして山木の邸のほうに、何か変った様子が見えたら知らせて来い」
「はっ」
兵はすぐ、岩を攀じて元の峰へ登って行った。
父の時政のいいつけで、惣領の宗時は、山之木郷の附近の山々に、七十、五十と兵を分けて宵からじっと武器を伏せて万一の変に備えていたが――いったい婚礼の席をも外させて、何の為に、父がこういう備えに自分をさし向けたか――宗時には、父の肚が解らなかった。
父の平常の主張からすれば、今夜の婚礼に、万一の変事などを、予測するわけもないのに、何で、家の子郎党に武装させて、伏兵の手配りなど命じたか、考えても考えてもその矛盾が宗時には解けなかった。
ポタ、ポタと、杉の梢から落ちる時雨のしずくが、宗時の鎧の背から肌着にまでしみてきた。
「……妹は、どんな心地で」
と、宗時は、それをも思い遣りながら、咳声もせぬ兵と共に、雨の小やみになった黒い雲を見つめていた。
「待てっ」
「だっ、だれだッ」
下の狭い渓川のあたりである。突然歩哨していた兵の大きな声がしたと思うと、間もなく、そこから駈け上がって来る足音がする。